理事長挨拶
理事長挨拶
本学会は、ルーラルナーシングの研究活動を活発化し、その成果をル-ラルナ-シングに携わる教育研究者や実践者と共有していくことで、知見の統合・体系化を図り、日本におけるル-ラルナ-シングの確立をめざして設立され、2025年で20年を迎えました。会員250名程の小規模な学会ではありますが、これまで保健医療の遠隔地(過疎地域、豪雪地域、山村、離島等、以下へき地)で勤務する看護職に求められる、幅広く総合的でレベルの高いケアの提供に資するため活動を続けて参りました。今期は、これまでの20年を振り返るとともに、次のステップへと歩みを進める節目の期と捉え努めて参ります。へき地と言えば、人口減少が著しく、高齢化が進み、物理的資源や人的資源が乏しいといった不利性に目がいきがちですが、発想を転換すれば、生活の全体性や地域把握が容易であり、さらに、地域特性に基づく生活者の知恵や地域の文化に学んだ地域ケアシステムの創造が可能であるという有利性を有しています。学術集会やエクスカーションで紹介される実践は、まさにその地域のオーダーメイドのケアシステムであることを物語っています。ただ、住民を交えた多職種の工夫と知恵が詰まったケアシステムが進化し継続していくためには、それを担う看護職の人材育成や学習支援、そしてサポート体制の構築が必要です。さらに、遠隔医療をはじめとする広域的なへき地保健医療支援体制の整備が進む中で、エビデンスの蓄積も学会の役割と考えています。
本学会では、ルーラルナーシングの教育研究者や実践者の交流の場として、毎年学術集会を開催しています。そのプログラムには、教育研究者と実践者の共同研究もあって、ルーラル地域での実践に基づく興味深い示唆を与えてくれます。また、2025年には第20回学術集会と20周年記念事業を実施し、「日本ルーラルナーシング学会20周年記念誌」を刊行しました。20周年記念事業における、初代理事長であり本学会顧問と第6期理事長との対談では、ルーラルナーシングの先駆性・可能性と今後の展望について多くの教示をいただきました。さらに、今期の学会活動としては、へき地で勤務する看護職の人材育成や学習支援を目的に2024年に立ち上げた教育研究委員会の活動を軌道に乗せることや、学会員の増員特に実践者の増員に努め、ルーラル地域での実践の紹介や教育研究者との交流の機会を増やすことにも努めてまいります。今後も、学会の設立趣旨からぶれることなく、看護実践の多様性に誇りを持ち、柔軟に創意工夫した看護実践に光をあてることのできる学会でありたいと考えています。
第7期前期(2023-2024年度)に引き続き、後期(2025-2026年度)も理事長を拝命いたしましたが、まだまだ経験不足・力不足でございます。会員の皆様の学会活動へのご参加、ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。
2026年4月
日本ルーラルナーシング学会
理事長 大西美智恵